vol.214 「事業場のメンタルヘルス(1)/話題2題」 2008.09.17
厚生労働省でも、平成18年 3月、事業場において事業者が講ずるように努めるべき 労働者の心の健康の保持増進のための措置(メンタルヘルスケア)についての指針を 出し、事業場におけるメンタルヘルス対策の推進を提唱しています。今回は、何故、 事業場においてメンタルヘルスケアが必要になってきたのかについてお話します
「事業場のメンタルヘルス (1)」

過労死や過労自殺といった言葉が頻繁にマスコミに取り上げられています。
そのよ うな事態に至らないまでも仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が 6割を超える状況にあるといわれています。
厚生労働省でも、平成18年 3月、事業場において事業者が講ずるように努めるべき 労働者の心の健康の保持増進のための措置(メンタルヘルスケア)についての指針を 出し、事業場におけるメンタルヘルス対策の推進を提唱しています。
今回は、何故、 事業場においてメンタルヘルスケアが必要になってきたのかについてお話します。

○メンタルヘルス対策の背景
精神疾患や自殺を防止することが、会社にとって重要な課題となった背景に、

1.中高年男性を中心として精神疾患や自殺が増えていること

2.司法において自殺の業務起因性が認められ、安全配慮義務違反により会社に対し て多額の損害賠償の支払を命じるケースが見られること

3.厚生労働省が精神疾患や自殺の労災認定基準を緩和したことで労災申請件数や労 災認定件数が大幅に増加したこと が挙げられます。

○労働者の精神障害の要因
仕事に関し強い不安やストレスを感じる労働者は今後も増大する状況にあります。
労働者の精神障害の要因として、成果主義の浸透、過重な責任の発生、仕事の量や質 の変化、職場での人間関係など仕事上のストレスの他に、家族・親族の出来事など仕 事以外の家庭生活や私生活のストレスもあり、労働者個人の素因や性格も関係してい るといわれています。
仕事上のストレスでは、特に、恒常的な長時間の過重労働は、精神障害を発症させ る可能性が高いと考えられ、判例においても「過重な長時間労働や業務内容が一定期 間持続すれば、人間の身体面、精神面の双方に慢性的な過労状況を導き、過労が回復 しないまま業務を続行する中で、抑うつ状態が生じ、ついにはうつ病の発症、さらに 自殺へと至る」とされ、うつ病や自殺の関連性を過重労働に結びつけています。
また、 自殺者の多くがうつ病を患っていたとの意見もあります。

○メンタルヘルス対策の企業にとっての意義
経営者には、労務の提供にあたって、労働者の生命・健康等を危険から保護するよ う配慮すべき使用者の義務として安全配慮義務が課されています。
この義務を怠った ことが原因で労働者が損害を被った場合には、その損害を賠償する義務を負うことに なります。
訴えを提起される事案について、過労死や過労自殺なども 増大する傾向にあり、また多額の損害賠償命令が下されるケースがあります。
その ように会社の責任が問われるリスクだけでなく、精神疾患を発症すると、仕事の能力 が低下し、ミスなどトラブルの発生の原因ともなり、ひいては組織力・生産性の低下 にもつながることから、労働者の心のケアが労務管理上必要と考えられるようになり ました。

(文責)行政書士・社会保険労務士 谷口 恵子
「共同託児所を開くという新発想~社員は好みで5カ所から選択可能」

トヨタグループの5社(デンソー、豊田自動織機、トヨタ車体、ジェイテクト、ト ヨタ紡織)が提携して託児所運営会社を作り、愛知県刈谷市、三重県いなべ市に5カ 所の共同託児所を開所して約1年。
トヨタグループの好調な業績が慢性の人手不足を 生み、トヨタ本体も“ママ社員”の本格的戦力化を目指していることもあり、グルー プ内に人材争奪の兆しさえ起こっている。豊田自動織機は女性社員だけの生産ライン を作るなど、各社ともママ社員戦力化は急務となっている。
共同託児所には、ママ社員(正社員・出向者)が5カ所から自分の通勤経路や好み で選択できること、午後8時30分まで営業し、祝日出勤や急な残業にも対応してくれ るなどの利便性があり、上々の利用率を記録している。
施設内では自動車通勤者にバ ック不要の駐車場を設け、電気のコンセントは幼児の手が届かない場所に配置する工 夫など、安全配慮も行き届いている。
月の利用料金は他の専業の託児所よりも 5,000 円程度高いが、各社の稼働日に合わせた営業の時間割、追加料金なし、など、1社だ けではできなかった利用者が得られる便益や安心感を高めることを可能にした。
このケースは自動車通勤の少ない都市部では難があるものの、企業同士が近隣地域 に固まって交通手段も似通っている地方都市の中小企業にも参考になりそうだ。

「機械装置の設備の種類の判定基準~どの業種用設備に該当するのか」

今年度の税制改正において、減価償却資産の耐用年数省令が改正され、機械及び装 置を中心に実態に即した使用年数を基に資産区分が整理されるとともに、法定耐用年 数の見直しが行われた。特に機械及び装置の資産区分は 390区分から55区分に大幅に 簡素化された。
新耐用年数は、日本産業分類の中分類に準じて、業種ごとの資産区分となっている。 しかし、どの耐用年数を適用するのか判断に迷うケースも少なくない。

国税庁がこのほど公表した「耐用年数の見直しに関するQ&A」によると、機械及 び装置が別表第二に掲げる設備の種類のいずれに該当するかは、基本的には、その設 備がどの業種用の設備に該当するかにより判定することとなるとしている。新耐用年 数は業種ごとの資産区分となっているが、業種ごとに一の法人について一の資産区分 を当てはめて判定するものではないということだ。

例えば、自動車部品製造業者の法人であれば、耐用年数が9年の「輸送用機械器具 製造業用設備」を適用する場合が多い。しかし、従業員の給食のため、通常、飲食店 で使用されている設備と同様の厨房設備を購入して工場に設置した場合は、その耐用 年数は異なる。

この厨房設備は、その構成や使用状況が、通常の飲食店業用の設備と同様であるこ とから、別表第二の「48 飲食店業用設備」に該当し、「8年」の耐用年数が適用さ れる。

(文責)ネットファーム 事務局 山本 正