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vol.308 「自筆証書遺言の検認と遺言書の真正担保/NEWS」 2010.09.02
「自筆証書遺言の検認と遺言書の真正担保」
~自筆証書による遺言書の検認期日の審問調書に、相続人の1人の「遺言書は遺言者の自筆によるものではなく、押印も遺言者の使用印によるものでないと思う」と記載がある場合は、当該登記申請書は受理できない。しかし、例外もあります。~

「NEWS」
①「国の借金」、初めて900兆円突破
②「健康大国」へ需要創出で調査事業
③納税猶予の経産大臣への確認申請
「自筆証書遺言の検認と遺言書の真正担保」 
 
 
自筆証書による遺言書の検認期日の審問調書に、相続人の1人が「遺言書は遺言者の自筆によるものではなく、押印も遺言者の使用印によるものでないと思う」旨の 陳述をしたとの記載がある場合には、登記官において、当該登記申請情報に添付された遺言書が真正に作成されたものであるか否かを判断することができないので、当該登記申請書は受理できない。
ただし、登記申請情報に、遺言内容による相続登記の申請に異議がない旨の陳述者の証明書(印鑑証明付)が添付されている場合には、当該相続登記の申請は受理される。
 
家庭裁判所による遺言の検認手続きについて
 
公正証書遺言を除く、その他のすべての遺言書については、家庭裁判所の検認を受けなければならないものとされている。
 
普通方式
自筆証書遺言(民法968)検認要
公正証書遺言(民法969)検認不要
秘密証書遺言(民法970)検認要
特別方式
死亡危急時遺言(民法976)検認要
伝染病隔離者遺言(民法977)検認要
在船者遺言(民法978)検認要
船舶遭難者遺言(民法979)検認要
 
遺言書の検認とは、遺言者の偽造、変造を防ぎ、かつ、遺言書を確実に保存し、証拠保全するための検閲・認証手続に過ぎないので、家庭裁判所の検認を経たからといって、遺言が有効に成立したと判断されるものではない。家庭裁判所の検認の審判は裁判ではなく、告知も不要であり、また、不服申立ても許されないものとされている。

検認の申立を受けた家庭裁判所は、検認期日を指定して、その期日に遺言の方式に関する一切の事実を調査し、遺言書の外部的な状態を検閲・認証して検認調書を作成する。検認の性質からして相続人その他の利害関係人の立会いは検認手続きの必要要件ではないとされているが、実務上は、相続人全員に検認期日の通知をして、立会いの機会を与えた上で検認を実施している。

検認が終了したときは、家庭裁判所は、検認に立会わなかった申立人、相続人、受遺者その他の利害関係人に遺言書の検認手続きが終了した旨を通知しなければならないものとされており、これにより利害関係人は遺言の存在を確認することが可能となる。また、検認が終了した場合には、家庭裁判所は遺言書の原本に検認済の証明書を付して申立人に返還する。
 
 
◎遺言の検認と登記手続き
 
不動産登記令別表22項の相続を証する情報(登記原因証明情報)として、検認手続を経ていない自筆証書遺言が添付された所有権移転登記が申請された場合には、当該申請は不動産登記法25条9号により却下される。

これは、実質的な審査権を有しない登記官が検認を経ていない単に遺言書と記載された一片の用紙を遺言の方式に適合することのみをもって相続を証する書面と して認めることは、推定相続人等の関与のない遺言の執行や偽造等の自筆証書遺言による不真正な登記の出現を助長することになり、登記の信頼性ひいては取引の安全性を害する恐れが生ずるからである。さらには検認手続を経ていない自筆証書遺言による登記申請を認めることは、登記官が自ら民法1004条違反を黙認し、同規定の空文化を招くこともつながりかねないからである。

家庭裁判所の検認手続がされた自筆証書遺言を添付して相続登記の申請がされた場合には、一応、相続人等の利害関係人が遺言の存在及びその内容を知っているものと推定することができるが、検認期日の審問調書の陳述内容が遺言の有効性を否定するようなものである場合は、登記官において、その遺言書が真正に作成されたものであるか否かについて疑義が生ずることになる。

検認手続きは、遺言書の証拠保全をするための検閲・認証手続にすぎないので、審問調書に遺言の成立に疑わせるような記載がある場合には、当該登記申請に添付された遺言書が真正に作成されたものかどうか判断することができない事になる。

従って、このような検認内容の遺言書による登記申請は本来却下されるべきものであるが、当該遺言書が真正に作成されたものであることを証明するために、異議 を述べた陳述者による「遺言の内容に従った登記の申請に異議がない」旨の印鑑証明付きの証明書の添付があった場合には、登記官は全体として、審問調書の遺言の成立を疑わせる陳述がされていない場合と同様の信頼を得ることができるから、当該検認済遺言書、審問調書及び陳述者の証明書を添付した申請を受理することができることになる。
 
 
 
 
(文責) 司法書士   龍見 康務
 
 
 
「NEWS」 
 
 
①「国の借金」、初めて900兆円突破~~国民1人あたりの借金は710万円
 
 
 財務省がこのほど公表した2010年6月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、904兆772億円となり、過去最高を記録していた前回発表の2010年3月末時点(882兆9,235億円)を21兆1,537億円上回り、900兆円を初めて突破した。
 地方が抱える長期債務残高は2010年度末で約200兆円程度と見込まれており、国と地方を合わせた借金は、大台の1,000兆円を軽く突破する状況にある。 昨年3月末に比べ、国債は約13兆円増の約733.8兆円で全体の約81%を占め、うち普通国債(建設国債+赤字国債)は、不況による税収不足を補うために増発した影響で、約12兆円増の約605.8兆円と過去最高となった。
 借入金は3月末に比べ約1.3兆円減の約55.1兆円と減少したが、一時的な資金繰りに充てる政府短期証券は約9.2兆円増の約115.2兆円、財政投融資特別会計国債も約1.6兆円増の約123.8兆円と、いずれも増加している。
 この「国の借金」904兆772億円は、2010年度一般会計予算の歳出総額92兆2,992億円の約9.8倍、同年度税収見込み額37兆3,960億円の24.2倍である。年収500万円のサラリーマンが、1億2,100万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の今年8月1日時点での推計人口1億2,739万人(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人あたりの借金は、3月末時点の約693万円から約710万円に膨れ上がる。
 
 
 
 
②「健康大国」へ需要創出で調査事業~~官学民からアイデア公募、28件採択
 
 
 政府が2020年までに実現を目指す「新成長戦略」の中に「健康大国戦略」がある。注目されるのは医療・介護周辺サービス産業創出調査事業で、経産省が三菱総研に委託し、民間企業、医療・福祉法人、大学、NPO法人等から産業創出のための調査事業アイデアを公募した。
 テーマは(1)医療・介護周辺サービス創出における調査、(2)IT活用等による介護事業者の経営効率化、安定化に資する調査など。全国から68件もの応募が あり、28件採択された。
 (1)の調査では、大規模調査事業として、愛知県厚生農業協同組合連合会の、中山間地域の医療機関主体による複合輸送サービス調査ほか12件(課題調査事業として、キューオーエル(株)の、女性を対象としたWeb健康情報サービス市場の確立調査ほか9件)が採択された。(2)の調査では、慶応義塾大学の、介護現場 の持続的な質向上をもたらす好循環モデルの検討調査ほか6件が採択された。
 民間企業に絞ると、日立製作所(「疾病管理事業者による疾病予防・管理サービス」調査)、三井不動産(「健康増進のための住宅づくり」調査)、新日鉄ソリュ ーション(「糖尿病想定の三次予防サービス事業」調査)など大企業も参画し全国展開の調査事業に着手する。各社は健康をベースとする次世代の企業経営のシーズ を探す。なによりも国民は需要創出を渇望し、官学民一体のブレークスルーが待たれる。
 
 
 
 
③ 納税猶予の経産大臣への確認申請~~後継者候補が決まれば随時申請可
 
 
 中小企業の後継者である受贈者が、贈与により経産相の認定を受ける非上場会社の株式等を、先代経営者である親族から全部又は一定数以上取得しその会社を経営していく場合、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式等に対応する贈与税の納税が猶予されるのが贈与税の納税猶予制度だが、贈与税の納税猶予に係る経産相への確認申請書は、後継者候補(特定後継者)が決まれば、いつでも申請できる。
 贈与税の納税猶予の「経済産業大臣の認定」では、後継者(経営承継受贈者)が「贈与の日において、20歳以上であり、引き続き3年以上にわたり役員であること 」が要件とされているが、事前の確認申請時において特定後継者(将来の経営承継受贈者)にはその要件は必要なく、後継者候補が役員に就任していなくても経産大 臣の確認を行うことができるので、「とりあえず申請」しておくことがベターといえる。
 一方、贈与税の認定申請については、贈与日の属する年の10月15日以後(贈与日が10月16日~12月31日である場合は、その贈与の日以後。贈与の年の5月15日前に経営承継受贈者又は経営承継贈与者の相続が開始した場合は、その相続開始日の翌日から5ヵ月を経過する日以後)に申請を行うことができる。 相続税の納税猶予の場合は、相続の開始の日から5月を経過する日において代表者であること、その他一定の要件を具備することを確認した上で、同日以後に申請 を行うことになる。
 
 
 
 
(文責) ネットファーム事務局
 
 
 
 
 
 

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