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vol.306 「発明の進歩性2/建設業許可について (7)」 2010.08.19
「発明の進歩性2(引用発明の認定)」
~特許出願をした発明に特許が認められるためには、出願発明に進歩性が要求される。つまり引用発明(先行技術)から容易に発明できないことをいいます。特許出願の審査では、出願発明と引用発明を認定した後、出願発明と引用発明を対比して進歩性が判断されます。~

「建設業許可について (7)」
~建設業の許可業者で、公共工事を元請けで受注したい場合には、一定の手続きを経る必要があります。今回は、経営事項審査及び入札についてお話します~
「発明の進歩性2」 (引用発明の認定)
 
 
 特許出願をした発明に特許が認められるためには、出願発明に進歩性が要求されます。進歩性があるとは、出願発明が引用発明(先行技術)に基づいて容易に創作をすることができないこと、つまり引用発明から容易に発明できないことをいいます。特許出願の審査では、出願発明と引用発明を認定した後、出願発明と引用発明を対比して進歩性が判断されます。
 今回は、引用発明の認定について争われた知財高裁の裁判例を紹介します。引用発明の認定において特許庁の判断が誤りであるとされた裁判例の多くは、引用文献から引用発明を認定するときに、出願発明に無理矢理近づけて引用発明を認定しています。
 特許庁は、進歩性に関する審査基準の理解を助けるために、平成22年2月17日に「進歩性のケーススタディ」を公表しました。このレポートは、「進歩性のケ ーススタディ」に沿って構成しています。
 
 
1.知財高判平19.3.28(平成18(行ケ)10211「成形可能な反射多層物体」)
 
(1)特許庁の判断
刊行物2には、可視光全体にわたって高い反射特性を持たせるために、高屈折率誘電体と低屈折率誘電体を交互に、かつ、各層の光学的厚みに勾配をもたせて積層した多層膜が開示されていると認定した。

(2)裁判所の判断
刊行物2における実施例3、4、7をみれば、隣接する二つの層を一対として一単位ととらえた場合に、各単位の光学的厚さ(二つの層の合計)が空気側から基板 側に向けて順次増加していることが認められるものの、刊行物2には、隣接する高屈折率の層と低屈折率の層を一対として一単位の光学的層ととらえることについては何らの記載もなく、また、実施例1、2、5及び6において積層された層数が奇数であることに照らせば、刊行物2においては、隣接する高屈折率の層と低屈折率の層を一対として一単位の光学的層と取り扱われていないことが明らかである。 (したがって、特許庁の)審決が、隣接する高屈折率の層と低屈折率の層を一対として一単位の光学的層ととらえて引用発明を認定したことは、本願発明を知った上でその内容を刊行物2の記載上に敢えて求めようとする余り、認定の誤りを犯したものである。
 
 
2.知財高判平21.3.25(平成20(行ケ)10261「上気道状態を治療するためのキシリトール調合物」)
 
(1)特許庁の判断
本願の優先日前に既に、各種の感染性の呼吸性疾患に対する「抗感染剤」については、投与経路として経口投与とともに鼻内投与が選択できることが周知である。 したがって、当業者であれば、引用例2における「上記の抗感染剤は、局所的に、経口的に、静脈中に、又は腹腔内に投与されることができるが、局所的投与が好ましい。治療薬の局所的投与の第一の利点は、より高い濃度の薬が、全身的投与に必要な投与量より低い投与量で、冒された組織にデリバリ-することができるから、高い投与量の全身的投与に比べて副作用を回避できることである」との記載は、「気道下部」のみならず、「上気道」を含めて感染性の呼吸性疾患について述べたものと理解することができる。

(2)裁判所の判断
引用例2は、前記のとおり感染部位を「気道下部」とする疾患の治療方法を提供しようとするものであることを繰り返し述べている記載態様に照らすならば、被告 (特許庁)が引用する上記記載部分は、感染部位を「気道下部」とする疾患に関する記述であると解するのが自然である。仮に、呼吸性疾患に対する「抗感染剤」の投与経路として「経口投与」とともに「鼻内投与」を選択し得ることが周知であったとしても、「気道下部」の疾患に対する治療方法を提供するものであると繰り返 し述べている引用例2の明白な記述に反してまで、「上気道」をも含める記載であると解釈することはできない。したがって、被告(特許庁)の上記主張は採用でき ない。
 
さらに詳細をお知りになりたい方は、ご連絡下さい。
 
 
 
(文責) 弁理士  川瀬 裕之
 
 
 
「建設業許可について (7)」  ~許可、経審、入札の関係~
 
 
建設業の許可業者で、公共工事を元請けで受注したい場合には、一定の手続きを経る必要があります。今回は、経営事項審査及び入札についてお話します。
 
○経営事項審査・・
公共工事の入札に参加したい業者は、営業年度終了後ごとに、経営事項審査を受けて総合評点を事前に取得しておく必要があります。経営事項審査とは、建設業法に定める「建設業者の経営に関する事項の審査等」のことをいい、建設業者の施工能力、財務の健全性、技術者数などの項目(客観的事項)を総合的に評価するものです。
また、財務の健全性を点数化する財務状況については、経営事項審査の前に経営状況分析として、外部の登録分析機関に申請し、数値を予め取得しておく(実務的には、経営状況分析結果通知書の交付)必要もあります。これも経営事項審査と同様毎年申請しなければなりません。
総合的な評点をつけるため、経営事項審査には4つの指標があり、それぞれ経営規模(直近2年または3年の平均完成工事高及び自己資本額)、技術力(技術職員数及び元請工事高)、社会性の項目(労働福祉状況、営業年数、法令遵守の状況など)と、前述した経営状況分析(経常利益率、自己資本比率など)からなっています。経営事項審査を申請すると、後日、各指標ごとの点数と総合評点が記載された結果通知書が交付されます。

○入札・・
官公庁では、入札参加を希望する業者を対象に《競争入札参加資格審査》を行っています。これがいわゆる《指名願》というもので、公共工事の受注を希望する官公庁ごとに申請を行い、有資格者名簿に登録される必要があります。その申請に必ず必要となるのが、経営事項審査の結果通知書であり、総合評点になっているのです。
官公庁の有資格者名簿には、総合評点によって建設業者がランク付けられています。 施工金額が高い大規模な公共工事には、高い総合評点の業者が選定される仕組みになっています。
また、公共工事について発注者と請負契約を締結することができるのは、その経営事項審査の審査基準日(決算日)から1年7か月となっており、公共工事を直接請け負おうとする業者は決算後速やかに経営事項審査の申請を行う必要があります。経営事項審査の申請後すぐに結果通知書が交付されるわけではありませんので、指名願を出し、公共工事が受注できたとしても期限内の結果通知書が手元になければ、公共工事の契約をすることができないということになります。建設業許可業者の中でも、下請けをもっぱら行う業者もあれば、公共工事を直接請け負おうとする業者もあり、経営方針で分かれるところです。後者の場合については、決算期ごとに経営事項審査を受け、各行政官庁に有資格者登録を行い必要があります。
 
 
 
(文責) 行政書士  谷口 恵子
 
 
 
 
 
 

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