「情報通」
~健康診断で「うつ病検査」を義務化へ~
「労働・社会保険 Q&A」
~残業代をまとめて後で支払うことは可能ですか?~
「情報通」 ~健康診断で「うつ病検査」を義務化へ~
◆うつ病などの労災請求・認定件数
2008年度のうつ病を含む精神障害などの労災請求件数は927件(3年で41.3%増)、認
定件数は269件(3年で111.8%増)となっており、増加傾向にあります。そこで、厚
生労働省では、企業が実施している健康診断において、うつ病などの精神疾患に関す
る検査を義務付ける方針を明らかにしました。2011年度からの実施を目指すとしてお
り、同省が1月に設置した「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が今後まとめ
る報告書に盛り込まれる予定で、労働安全衛生法の改正(または厚生労働省令の改正
)により対応していくものと思われます。
◆高い自殺率の背景にうつ病などの精神疾患
日本では、平成10年から12年連続で毎年3万人を超える人が自殺しており、人口10万
人当たりの自殺死亡率(自殺による死亡率)は、欧米の先進諸国と比較して突出して
高い水準にあります。また、うつ病の患者数は2008年には100万人を超えています。
これらうつ病をはじめとする精神疾患の増加が、高い自殺死亡率の背景にあると言わ
れているため、自殺防止対策とあわせて、うつ病・メンタルヘルス対策への対策が急
務とされていました。
◆一体となった取組みが必要
健康診断における「うつ病検査」の実施が、うつ病などの精神疾患の減少につながる
ことが期待されていますが、政府・厚生労働省の対策に頼るだけでなく、職場・地域
・家庭におけるうつ病・メンタルヘルス対策への一層の取組みが期待されるところで
す。
「労働・社会保険 Q&A」 ~残業代をまとめて後で支払うことは可能ですか?~
≪相談内容≫
当社は毎年夏と冬に賞与を支給しており、例年、毎月の残業代や休日出勤手当なども
賞与の際にまとめて支給しています。ある従業員から、「残業代はまとめてではなく
、毎月支給して欲しい」と申し出がありました。実際に生じた残業時間や休日出勤の
手当をまとめて支払っている事には間違いありませんが、残業代など は毎月支払わ
なければなりませんか?
≪回答≫
ご質問のポイントは、残業代が労働基準法上の「賃金」に該当するか否かということ
になります。
そもそも、賞与自体は、法律で支給が義務付けられているものではありませんので、
支給するか否かは使用者の判断にゆだねられます。一方残業代(時間外労働割増賃金
)については、法律で義務付けられている賃金のひとつです。
労働基準法第24条第1項では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わ
なければならない。」と規定されています。また、第2項では、「毎月1回以上、一
定の期日を定めて支払わなければならない。」とも規定されています。したがって、
残業代については、実際にその月に労働した対価として、当然に「賃金」としてみな
され、その時間数や回数を毎月の賃金締切日ごとに計算し、その全額を支払わなけれ
ばならないということになります。御社のように、賞与の際にまとめて残業代を支払
うという方法は、賃金の毎月払いの原則に反している可能性があり、早急に改善され
ることをお勧めいたします。また、毎月の残業代を定額で支払っている企業も見受け
られますが、実際に計算した時間が割増賃金額の定額払の額を超えた場合は、その都
度、賃金締日ごとに差額を計算し支払う必要がありますのでご注意ください。
(文責) 社会保険労務士 大津 賢一郎