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vol.293 「遺贈と相続による登記/時評」 2010.05.13
「遺贈と相続による登記」
~相続登記と遺贈の登記、この2つの登記を連件申請で行なう場合、いずれの登記の申請を先にするか。~

「時評」
~元来た道へ迷い込まないために~
「遺贈と相続による登記」
 
遺言書により、被相続人 甲 の相続財産であるA土地の3分の1につき、乙に遺贈がなされ、残る3分の2については、甲の共同相続人である、丙、丁が法定相続分にて相続した。この2つの登記を連件申請で行なう場合、いずれの登記の申請を先にするか。
 
 
結 論
 
 丙、丁の相続登記を先に申請すると、外観上、被相続人の所有権の一部について相続登記を申請することになり、先例に反することになるから、先ず遺贈の登記申請をし、その後に相続登記の申請をする。
 
 
 
 
1.相続登記を先に申請した場合の問題点
 
 昭和30年10月15日民甲2216号先例は、被相続人 甲 の相続財産である不動産を共同相続した場合、共同相続人中の1人だけの持分について、相続登記の申請をすることはできないとしている。

 もし、被相続人甲の単独所有として登記されているA不動産について、遺贈部分(3分の1)を除いた3分の2について、丙、丁とが共同相続をしたとして相続登記の申請をすると、実際上は遺贈部分3分の1を除いた相続対象部分全部の持分(3分の2)についての相続登記の申請であるにもかかわらず、遺贈登記が申請されていないから,A不動産につき一部の相続分についての相続登記を申請したことと同様の状態を作り出すこととなる。

 丙、丁の法定相続分による相続登記の申請では、乙が遺贈を受けたことを証する遺言書は添付情報とならないから(丙、丁についての相続登記の申請であり、乙は申請当事者ではない)。登記官には乙、丙、丁間の遺贈、相続の実体が判明しないことになる。

 遺贈の登記を先に申請し、その後に相続登記を申請することになる。もし、丙、丁の相続登記を申請した場合は、不動産登記法第25条2号により却下される。 なお、被相続人甲が1個の遺言公正証書で全財産の2分の1を乙に遺贈する旨と、残余の2分の1を丙に相続させる旨とを遺言している場合であっても同様である。
 
 
 
 
2.先に遺贈の登記を申請場合
 
 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じる、受遺者乙が、甲から遺贈を受けたA不動産の持分3分の1について、遺贈による所有権一部移転の登記を申請した場合には、甲が死亡して相続が開始していることが登記官に判明する。

 この場合には、遺贈の登記(A不動産の3分の1)だけが申請されたとしても、残る3分の2については、未登記であるが相続されているという推定が成り立つので、遺贈の登記の申請だけを行うことができる。遺贈と相続との登記申請を連件でする場合には、先に遺贈の登記を申請することになる。
 
 
 
 
 
(文責)司法書士   龍見 康務   
 
 
「時評」 ~~元来た道へ迷い込まないために
 
 あまりにも善人、あまりにも優しすぎる。鳩山首相のことである。

 米軍普天間飛行場の移設問題は、危惧したとおり、迷走に迷走を重ねている。自民党政権下で、十数年かけて検討に検討を重ね、やっと決まった沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行案を反故にしてしまったからである。我が国における米軍基地の大半を背負わされている沖縄県民のご苦労に思いをいたせば、少しでもその負担を軽減させてあげたいと言う思いは、人間として極めて尊いものであろう。基地移設の現行案を反故にして、移設先を「海外、最低でも県外」と公言した鳩山首相は、優しくて、善人であることに間違いない。しかし、為政者は、優しくて善人であるだけでは務まらないのである。

 昨年11月、鳩山首相は、この問題に対して、オバマ大統領に「トラストミー」と見栄を切り、5月末までに決着させると確約した。海外への移設というのは、グアム 等を考えていたようである。沖縄県民は大いに期待したが、迷走のあげく、海外移設はあっさり潰えてしまった。その後、「腹案がある」と、実現可能な良案があるかのごとく匂わせたが、県外というのは、鹿児島県徳之島であるということが明らかになった。そのとたん、島民はこぞって基地移設反対の狼煙を上げた。首相の考えでは、米海兵隊ヘリ部隊を徳之島へ移設するつもりであったが、米側は海兵隊の一体運用を損なうとして拒否している。

 そこで、政府は、現行案に近いキャンプ・シュワブ沖合に、杭打ち桟橋方式で、代替え施設を建設する「浅瀬案」で、米側と調整をしようとしたが、首相自身は「政府案はまだ固まっていない」と語り、米側との調整も進んでいない。 5月4日、首相は沖縄を訪問し、移設先を「最低でも県外」といったのは、「民主党の考え方ではなく、私自身の代表としての発言だ」と驚くべき発言をし、米海兵隊 の抑止力は、「必ずしも沖縄に存在しなければならないことにはならないと思っていた。考えが浅かったと言われればそのとおり」と安全保障に対する認識の欠如も素直に認めた。「海外は勿論県外も無理であるから、理解して欲しい」ということを言いたかったのであろう。期待が大きかっただけに、沖縄県民の思いはいかばかりか。迷走に迷走を繰り返したあげく、結局普天間飛行場は、現行のまま居残ってしまうのではないのか。優しさが最悪の結果を生んだようである。

 このように、日米の安全保障に関してすきま風が吹くのを尻目に、早速、韓国と中国が不穏な動きを見せている。韓国が不法占拠している竹島の支配強化を図るため、竹島周辺の海底地質を調査して、新たに岩盤の上に海洋科学基地を建設し、既に建設しているヘリポートも改修、強化する計画とのことである。 一方、中国海軍の艦艇10隻が、4月10日に沖縄本島の南西140キロの公海を東シナ海から太平洋に向けて通過した後、13日には沖の鳥島周辺海域に到着して演習を行った。4月21日には、中国海軍の艦載ヘリが、公海上で海上自衛隊の護衛艦に約90メートルまで異常接近して威嚇した。4月8日にも異常接近があったとのことである。これらに対して、日本は抗議らしい抗議もしていない。相手の気持ちをおもんばかってである。

 「ならぬ堪忍、するが堪忍」とぎりぎりまで我慢する。そして、最後に暴発するのである。無用な争いに巻き込まれず、矜持ををもって生きていく道はただ一つ。「味方につければこんなに頼もしい者はいないが、間違っても敵にはしたくない」と思われることである。国もまたしかり。
 
 
 
 
(文責) 行政書士    古田 嘉人  
 
 

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