「交際費の認定」
~会社での会計処理が、会費や会議費や雑費などで処理していても、税法での判断で交際費になるものがあります~
「著作物の利用(その1)」
~今回は、他人の著作物を利用するための方法について説明します。~

「交際費の認定」
先日、税務調査で、会費で処理していた社交クラブの会費と、会議費で処理していた手土産代が交際費であるとの指摘を受けました。
税法では「交際費とは、得意先等の事業関係者に対する接待、供応、慰安、贈答、その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。」と規定されています。
会社での会計処理が、会費や会議費や雑費などで処理していても、税法での判断で交際費となってしまいます。また、よく間違いのあるケースは、社長が従業員と飲食に行った経費を福利厚生費にされていますが、従業員も事業関係者となり、交際費の対象になります。福利厚生費となるのは、忘年会、新入社員歓迎会、社内旅行など会社の行事に関して支出されたものとなります。
資本金1億円以下の中小企業は、交際費の年間支出額の600万円を超えた金額と600万円以下のうち支出額の10%が必要経費としては認められません。資本金1億円超の会社は、支出額の全額が必要経費となりません。これを交際費の損金不算入制度といいます。ただし、1人当たり5000円以下の飲食費に限り交際費に含まれない扱いになっています。
交際費は、企業にとって利潤追求のための営業活動の一部である、すなわち必要経費であると思います。それなのになぜ、損金不算入となるのでしょうか。
交際費は、その支出を無制限に認めると企業の資本蓄積を阻害するというのです。しかし、利益を目的として支出するわけで、支出以上に利益を見込んでいるのであるから、その理屈は当てはまらないのではないでしょうか。
また曰く、会社が販路の拡大を図るのであれば、製品の品質や価格、アフターサービス等を通じて公明正大に行うべきであるから、接待、供応等の手段をとることは、社会全体からみれば、冗費であり、国が社会的に不必要な費用を補助する結果になるという。余計なお節介だと思います。交際費は社会の潤滑油ではないでしょうか。また、交際費を支出することにより、その経済的波及効果が見込めます。企業の経営者が、採算を度外視して交際費をむやみに使うでしょうか。経営者は私的な欲望の満足のために交際費を使っているのではないかとの批判もありますが、健康を害してまで、支出する人も少ないと思います。企業の自治に任せるべきではないでしょうか。
ともあれ、実務的には法律に従う必要があります。
交際費の判定要件として次の3要件が最も妥当であるとされています。
(1)「支出の相手方」が事業に関係のある者等であること
(2)「支出の目的」が事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ることにあること
(3)「支出の基因となる行為の形態」が、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類するものであること
冒頭の税務署の指摘を、この3要件に当てはめてみると、社交クラブの会費は、事業に関係する者と親密の度を密にするための接待に支出するものであるから交際費となります。なお、これを経営者の私的に利用する目的であれば給与と認定されます。
手土産代については、営業マンが取引先を訪問するということは、商談のためであり、その手土産が商談の際の茶菓子として提供されたり、特定の相手に個人的に供されるよりは職場の皆で食されることが常であることなどから、(2)の要件に当てはまらない場合が多いのではないかと思われます。
(文責)公認会計士 魚住 正治
「著作物の利用(その1)」
1.はじめに
著作権(財産権)には、複製権、上演権および演奏権等があり、著作者はその著作物を複製する権利を有し(著作権法第21条)、著作物を公衆に直接見せ、聞かせるために、上演し、演奏する権利を有します(著作権法第22条)。したがって、他人の著作物を無断で複製、上演または演奏等すると、原則として他人の著作権の侵害となり、差止請求、損害賠償請求をされる場合があります。また、著作権の侵害は犯罪行為であるため、告訴されると、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(懲役と罰金の併科も可)が科されます(著作権法119条)。今回は、他人の著作物を利用するための方法について説明します。
なお、他人の著作物を無断で複製等しても、引用または私的利用等に該当するときは、著作権の侵害とはなりません。他人の著作物を無断で複製等しても、著作権の侵害とならない場合については、次回、説明します。
2.利用方法
(1)利用許諾
著作物の利用について、著作権者との間で許諾契約を結び、契約の内容を明らかにした書面を残す方法があります。
文化庁が作成している「自由利用マーク」を使用すると、契約締結の煩わしさを軽減することができます。「自由利用マーク」は、自由な複製等を著作権者が了解する場合に、そのものに付するマークであり、つぎの3種類があります。
①「プリントアウト・コピー・無料配布」OKマーク(;プリントアウト、コピーと無料配布のみを認めるマーク)
②「障害者のための非営利目的利用」OKマーク(;障害者が使うことを目的とする場合に限り、コピー、送信、配布等、あらゆる非営利目的の利用を認めるマーク)
③「学校教育のための非営利目的利用」OKマーク(;学校の様々な活動で使うことを目的とする場合に限り、コピー、送信、配布等、あらゆる非営利目的の利用を認めるマーク)
(2)譲渡
著作権(財産権)の譲渡により、譲渡契約の範囲内で譲受人は著作物を自由に利用できます。
なお、広義の著作権のうち、著作者人格権と実演家人格権は一身専属であり、譲渡の対象とはならないため、著作権(財産権)の譲渡契約に際して、「著作者は、譲受人の行為に対して人格権を行使しない。」等の一文を入れておくのがよいでしょう。
(3)出版権の設定
たとえば、小説を執筆した場合、執筆者が著作権者であるため、執筆者が小説の複製権を持っています。したがって、出版社がその小説を出版するとき、言い換えれば、小説を複製し、消費者に譲渡するときは、出版社は執筆者との間で出版権の設定をしています。
(4)裁定
公表された著作物等であり、相当な努力を払っても著作権者と連絡することができないときは、文化庁長官が定める補償金を著作者のために供託し、文化庁長官の裁定を受けることにより、著作物の利用が認められます(著作権法第67条)。著作権者との契約が困難である場合を想定したものです。
また、公表された著作物を放送しようとする放送事業者は、著作権者との間で放送の許諾について協議が成立せず、または協議をすることができないときは、文化庁長官が定める補償金を著作権者に支払い、文化庁長官の裁定を受けることにより、著作物の放送が認められます(著作権法第68条)。
商業用レコードの録音等についても、同様に裁定による利用が認められています(著作権法第69条)。
さらに詳細をお知りになりたい方は、ご連絡下さい。
(文責) 弁理士 川瀬 裕之