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vol.279 「文献の引用/社労士通信」 2010.01.28
「文献の引用」
 ~インターネット等により文献を検索すると、利用規約に「事前の承諾を得なければ利用することができない」等の表示を目にする。どのような場合に、文献の引用が制限されるのか~

「情報通1」
 ~雇用保険法の一部を改正する法案要綱を答申/労政審、財政基盤強化など~

「情報通2」
 ~「日本年金機構」が通常業務スタート~

「労働・社会保険 Q&A」
 ~事業主や役員の労災保険について~
「文献の引用」
 
 
1.はじめに
 インターネット等により文献を検索すると、文献の利用規約に「事前の承諾を得なければ利用することができない」等の表示を目にすることがあります。このような場合には、文献の引用が制限されるのでしょうか。
 
 
2.著作物の引用
(1)出版された書籍やホームページ上に掲載された研究報告書等の文献は著作物であり、公表された著作物は引用して利用することができます(著作権法第32条第1項)。したがって、たとえ禁転載の表示があったとしても、文献等の著作物の引用は著作権侵害にはなりません。
 
(2)ただし、引用は、公正な慣行に合致し、引用の目的上、正当な範囲内でしなければなりません(著作権法第32条第1項)。公正な慣行や引用の目的上、正当な範囲とは、最高裁判決「写真パロディ事件」によれば、
 
a.引用する側と引用される側に主従の関係があることが必要です。
 つまり、質的にも量的にも、引用する側が主であり、引用される側が従の関係にあることが必要です。
b.引用される部分が、他の部分と明確に区分されていることが必要です。
c.引用しなければならないことに必然性が必要です。
 
(3)国または地方公共団体の機関等の資料や報告書を、通常の引用の範囲を超えた大幅な転載をする場合であって、転載禁止の表示があるときは、大幅な転載が禁止されます(著作権法第32条第2項)。しかし、上記の引用の要件を満たせば、著作者 に無断で引用することはできます。
 
(4)引用は、改変せずに利用することをいい、他人の著作物を改変した結果、他人の主張と異なる主張になったような場合には、著作者人格権(同一性保持権)を侵害することになります。この点は、注意が必要です。
 
 
さらに詳細をお知りになりたい方は、ご連絡下さい。
 
 
(文責)弁理士  川 瀬 裕 之
 
 
「情報通1」 ~雇用保険法の一部を改正する法案要綱を答申/労政審、財政基盤強化など~
 
 
労働政策審議会は13日、「雇用保険法の一部を改正する法律案要綱」及び「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」について、「おおむね妥当と認める」と答申しました。
主な内容は
 
(1)2009年度の国庫負担として3,500億円を追加、2011年度以降は国庫負担を本則(4分の1)に戻す (2)雇用保険の適用範囲を週所定労働時間20時間以上で31日以上雇用見込みの者に拡大
(3)事業主の責により雇用保険に未加入とされた人に対する2年(現行)を超える遡及適用
(4)失業等給付の積立金から借り入れる仕組みの暫定的措置
(5)雇用保険二事業の保険料率に係る弾力条項の発動停止、などです。
 
 
 
「情報通2」 ~「日本年金機構」が通常業務スタート~
 
 
 社会保険庁の後継組織「日本年金機構」(非公務員型の特殊法人)が1月1日に発足し、4日から通常業務をスタートさせました。各都道府県の社会保険事務局は9カ所のブロック本部に集約され、全国312カ所の社会保険事務所は「年金事務所」に名称が変 更されました。資格取得や喪失の手続き等については、従来の社会保険事務所庁舎をそのまま使用し、所在地等も変更はありません。
 なお、健康保険に関する業務につきましては、平成20年10月から各都道府県の「協会けんぽ」が窓口となっており、こちらについては変更はありません。
 
「労働・社会保険 Q&A」 ~事業主や役員の労災保険について~
 
 
≪相談内容≫
 
 今回、当社従業員が、役員に就任することになりました。役員に就任し労災保険の対象から外れ、業務中の事故などで負傷した場合に補償されないと聞きました。どのようにすればよいでしょうか?
 
 
≪回答≫
 
 労災保険は本来、労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して保険給付を行なう制度のため事業主や法人の業務執行権のある役員等は補償されません。しかし、業務内容から業務中に負傷する可能性があるのでしたら、事務処理を労働保険事務組合に委託すると、中小企業の事業主や法人の業務執行権のある役員等も労災保険に特別に加入することができます。また、労働保険料を、その保険料の額にかかわらず、3回に分割して納付できます。ただし、特別加入した場合でも株主総会や会合への出席等の事業主や法人の役員特有の業務中の災害については対象になりませんので注意することが必要です。
 労働保険事務組合に事務委託のできる中小事業主は、小売業、不動産業、金融業、保険業は50人以下、卸売業、サービス業は100人以下、その他の事業は300人以下となります。役員になった方の業務内容や実情から見て、労災保険に特別加入することが 適当かどうか判断して下さい。
 
 
(文責)社会保険労務士   大津 賢一郎
 
 

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