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vol.267「八ツ場ダムの建設中止/会社に求められる労務管理(4)」2009.10.15
「八ツ場ダムの建設中止」
 ~前原国土交通相が八ツ場(やんば)ダム予定地を視察し、「申し訳ないが、白紙に戻すつもりはない」などと建設中止を撤回しない考えを強調した~

「会社に求められる労務管理(4)」
 ~労働者安全衛生法~
「八ツ場ダムの建設中止」
 
 
 前原国土交通相が八ツ場(やんば)ダム予定地を視察し、「申し訳ないが、白紙に戻すつもりはない」などと建設中止を撤回しない考えを強調したことについて、事業費を負担している埼玉県の上田知事と千葉県の森田知事は24日、改めて中止に反対の姿勢を表明した。地元群馬県の大沢知事や東京都の石原知事もすでに中止に反対の意向を示している。“政権公約(マニフェスト)ありき”の前原国交相に対する知事の包囲網。両者の溝は深まっている。                                 ― 9月25日 産経新聞 ―

 八ツ場ダムは昭和27年、カスリーン台風(昭和22年)による大被害を受け、利根川上流にダムを築いて、下流部の洪水被害の軽減を図るため、そして、また、年々増え続ける首都圏の人口と、それに伴う水の使用量の増大を支えるための水資源の開発を目的に計画されました。平成20年に、その目的に「発電」が追加されています。
 総事業費4600億円、そのうち7割がすでに施工されている。
 事業を継続するほうが得か、中止するほうが有利かが盛んに議論されている。
継続するとした場合、ダムの建設費600億円、住民生活再建費用770億円の1370億円かかります。中止した場合でも、住民生活再建費用は削除できません。さらに、これまで1都5県が負担した890億円は返還すべきだとしています。さらに復旧費用がかかります。これだけを比較すると石原都知事の言うとおり、中止したほうの負担が大きいといえます。

 これに対して、前原国交相は、建設費だけの比較はできない。ダムの底にたまった土砂を定期的に掘り出したり、維持費がかかる。それにダムを造ると、海に土砂が流れていかなくなり、海岸の浸食が大きくなって、その修復費用もかかるとの言でした。あまり深く考えてはいないような印象を受けます。

 費用の考え方として、中止した場合は建設した時に得られたであろう利益、すなわち洪水による損害を未然に防ぐ利益、渇水による農業用水、工業用水や飲料水の不足による損害を防ぐ利益が機会費用として中止した場合の費用に追加しなければならな いと思います。

 したがって、有利か不利かの判断にあたって、50年以上も前に企画された計画を現時点に立って見直して、その建設によって得られる利益を、測定しなおすことがまず肝要だと思います。

   それにしても、地元の住民こそ哀れです。50年近くも反対運動をつづけ、疲れ果てて生まれ育った故郷を捨てる覚悟がついたと思ったら、元に戻せということです。政権が代わっただけで、数10年も続いたプロジェクトを中止できるのでしょうか。たんに、政治や法律だけで考えてよいのでしょうか。民主党はパフォーマンスが過ぎるのではないでしょうか。これも小沢流なのでしょう。
 
 
 
 
(文責)公認会計士 魚住  正治      
 
 
 
 
 
「会社に求められる労務管理 <4> ~労働者安全衛生法~」
 
 
 労働契約にもとづいて、労働者は労務提供を行い、それに対して使用者は賃金を支払います。その労働契約に付随して、労働者は日々良好な健康状態で業務を遂行する義務を負い、その一方で使用者は安全で働きやすい職場環境を確保する義務が生じます。

 今回は、労働者安全衛生法を中心に事業主の労働者に対する安全衛生・健康管理についてお話します。
 
 
●労働者安全衛生法・・
 
 あまりなじみのない法律名ですが、働く労働者の安全の確保や職場環境について規定しているのが【労働者安全衛生法】です。昭和47年に労働基準法から、分離独立して制定されました。この安衛法には、事業主に対する基本ルール(事業者の責務)を設けています。
1.安衛法で定める労働災害を防ぐための最低基準を守らなければならない
2.快適な職場環境を実現させる
3.労働条件を改善する
4.職場の労働者の安全と健康を確保する
5.国が実施する労働災害を防ぐための施策に協力する
上記2~5によって1を補完する関係になっているとされています。
 
 
 
●安全衛生管理体制・・
 
 労働災害を防ぎ、快適な職場環境を整備するために、法律では事業場全体の安全衛生管理体制を義務づけています。工場長や施設長な個々の事業場での実質的な責任者からの指揮命令ラインを通じて安全衛生管理を徹底させる体制をとらせています。それが、「総括安全衛生管理者」「安全管理者」「衛生管理者」「作業主任者」などの選任です。それぞれの説明は割愛しますが、事業場の規模と業種によって事業主がとるべき選任すべき責任者が異なり、とるべき安全衛生管理体制が区分されています。
 責任者と同様に選任が義務づけられているのが「産業医」です。労働者の健康を確保するためには専門家による協力・指導を受けることが望ましいことから、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任しなければなりません。
 また、労働災害を防ぐためには、事業主が安衛法の措置を講ずるだけでは万全ではないため、事業者労働者双方から参加して労働災害の防止策などを調査・審議するために「安全委員会」「衛生委員会」「安全衛生委員会」を設置することになっています。
 
 
 
●健康診断・・
 
 労働者の健康状態を把握し、適切な健康管理を行っていくために、事業主は健康診断を実施しなければなりません。特に、1年に1回の定期健康診断は事業所の規模や業種に関係なく「常時使用する者」に対して行わなければなりません。ここでの常時使用する者とは、正規社員のみならず、パートタイマーなど労働時間が短い労働者であっても、1年以上勤務し、なおかつ、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば受けさせる必要があります。一般健康診断にかかる費用と受診の時間の賃金ですが、事業主に健康診断の実施が義務づけられていることからかかった費用は事業主負担であり、労働時間内の受診時間の賃金については賃金を支払う義務はありません。
 ただし、有害業務に従事する労働者に対して実施する「特殊健康診断」については事業の遂行上当然必要となるものですから、受診中の賃金についても支払う義務は生じます。
 また、健康診断が終わったら、健康診断の結果に基づいて健康診断個人表を作成し、5年間保存しなければならないとなっています。さらに常時50人以上を使用する事業場には、所轄労働基準監督署に定期健康診断結果報告書を提出しなればなりません。
 
(文責)行政書士・社会保険労務士  谷口 恵子   
 
 
 
 
 
 
 

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