「共有者のうちの1人の相続財産を特別縁故者に移転する場合の手続き」
「超長寿命企業に学ぶ」
~近代の経済状況では、会社の寿命は約30年といわれている。超長寿命企業はどの様にして生き抜いてきたのか。~

「共有者のうちの1人の相続財産を特別縁故者に移転する場合の手続き」
事 例
甲と乙はそれぞれ持分2分の1の土地を共有していた。甲が死亡したがその相続人が不明のため、その相続財産は法人名義となり相続財産管理人が選任された。その後、相続人の不存在が確定し、相続財産は特別縁故者の丙に分与されることとなった。
相続人不存在の場合の相続人捜索の手続き
共有者の1人が死亡しその相続人のあることが明らかでない場合には、その死亡者の共有持分は相続財産である法人名義となり、相続財産の管理人が選任される。そして、その管理人により相続人の捜索などが行なわれる。
その手続きは次のとおりである。
1.相続財産を管理するため、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求により
相続財産管理人を選任し、かつ、遅滞なくその旨を公告しなければならない。
2.管理人選任の公告後2ヶ月間は、相続財産を保存しながら相続人の出現を待つ。
3.管理人選任の公告後2ヶ月間に相続人が出現しなければ、管理人は、相続債権者、受遺者に対して、2ヶ月を下らない期間を定めて、債権の申し出をなすべき旨を公告する。相続人の捜索は、この期間中も引き続き行なわれる。
4.相続債権者に対する債権申出公告期間の経過後、なお、相続人のあることが明らかでなければ、管理人又は検察官の請求によって、家庭裁判所は、6ヶ月を下らない期間を定めて権利主張催告の公告を行なう。最後の相続人捜索の手続きである。
5.この期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、相続人の不存在が確定し、相続人の権利は消滅する。
6.相続人不存在の確定後3ヶ月以内は、特別縁故者(被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別縁故があった者)による相続財産分与の申立てが認められる。
7.-1 特別縁故者からの相続財産分与の申立てより、特別縁故者への財産分与の審判が確定すると、
8.-1分与された財産は、特別縁故者に帰属する。
7.-2 特別縁故者から相続財産分与の申立てがなかったとき、分与の申立てがあったがその申立ての却下が確定したとき、
7.―2-1共有財産の共有持分は、
8.-2他の共有者に帰属する。
7.-2-2分与後に残余財産が存在する時は、共有持分以外の相続財産は、
8.-3国庫に帰属する。
特別縁故者と他の共有者のどちらが優先するか
被相続人が所有していた不動産が共有である場合に、被相続人が相続人なくして死亡したときは、民法255条の規定と民法958条の3第1項の規定との関係が問題となる。民法255条は「共有者の1人が死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」と定めている。他方民法958条の3第1項は、被相続人の特別縁故者は、相続財産の分与を請求することができる旨を定めている。
そのため、いずれの規定が優先するかが問題である。平成元年11月30日民三4913号にて次のような通達が出され、「共有者の1人が相続人なくして死亡した場合において、民法953条の3の規定による相続財産処分の審判に基づき当該共有持分移転登記の申請がされたときは、これを受理すべきである。」これによって、従来取り扱ってきた民法255条の規定は変更された。
<審判書>
平成21年(家)第0000号相続財産分与申立事件 |
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| 審 判 |
| 本 籍 | 00県00市00町0丁目0番地 |
| 住 所 | 00県00市00町0丁目0番00号 |
| 申 立 人 | 丙 |
| 最後の住所 | 00県00市00町一丁目0番地 |
| 被相続人 | 亡 甲 平成〇〇年〇〇月〇日死亡 |
| 主 文 |
| 被相続人甲の相続財産である別紙相続財産目録記載の不動産を申立人 丙に分与する。 |
| 理 由 |
以上認定した事実によれば、申立人は民法958条の3第1項のいわゆる特別縁故者に該当することが明らかである。
よって、本件記録に顕れた一切の事情を考慮し、相続財産管理人Aの意見を聞いたうえ、別紙財産目録記載の土地の共有持分2分の1を申立人丙に対して分与することを認め、主文のとおり審判する。 |
| |
| 平成21年〇〇月〇〇日 |
| | 大阪家庭裁判所 家事審判官 〇〇 〇〇 印 |
| 上記は正本である。 |
| 平成21年〇〇月〇〇日 |
| | 大阪家庭裁判所 裁判書記官 〇〇 〇〇 印 |
| なお、利害関係ある取締役甲、乙は、この決議に参加しなかった。 |
<確定証明書>
確 定 証 明 書 |
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| 申 立 人 | 丙 |
| 被相続人 | 甲 |
| 上記当事者間の平成21年(家)第0000号相続財産分与申立事件の平成〇〇年〇〇月
〇〇日付審判は、平成〇〇年〇〇月〇〇日確定したことを証明する。 |
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| 平成21年〇〇月〇〇日 |
| | 大阪家庭裁判所 裁判書記官 〇〇 〇〇 印 |
相続財産分与の審判に対しては、即時抗告をすることができるから、確定証明書の添
付を要する。
(文責)司法書士・土地家屋調査士 龍見 康務
「2.超長寿命企業に学ぶ」
急激な円高である。1ドル90円を割り込んだままである。消費者にとっては、輸入品を安く買うことができ、歓迎すべきことかも知れない。しかし、輸出企業にとっては、売上が落ち込み、企業収益を圧迫する原因になってしまう。大手の自動車企業では、1円の円高で約100億円の利益損失を生むというのである。
一方、我国経済はデフレスパイラルに落ち込みつつあるとも言われている。ご存知のようにデフレスパイラルとは、物価が下落しても需要の上昇が見られず、さらにデフレを進行させる悪循環のこといい、物価の下落と実体経済の縮小とが、相互に作用して、らせん階段を下りるようにどんどん下降していく経済の現象のことであります。物価の下落が継続して起こり、それにつれて景気がどんどん悪くなる状況を生み出していきます。<物価下落 → 企業の売上の減少 → 企業収益の滅少 → 企業行動の慎重化(設備投資や雇用の調整) → 個人消費などの最終需要の滅少 → さらなる
物価下落 >を繰り返していきます。そこに先の円高が覆いかぶさってきます。物価の下落に拍車を掛けることになります。その上、近々、派遣労働の見直しもされます。果たして、子供手当、高速道路無料化などで、どの程度景気を刺激し、上向くのでしょか?不安だらけです。政治に任せていては埒があかないでしょう。
激動の時代を生き抜き、景気の波を見事に超えてきた多数の企業が存在します。我国約198万社の内、創業100年以上の企業が2万1千社あります。安土桃山時代の創業は266社。江戸時代の創業は3,530社。一番古い創業は、西暦578年。何と聖徳太子の時代まで遡ります。大阪市天王寺区四天王寺に本社を置く、有名な株式会社金剛組です。会社そのものは、3年前に資本金3億円で設立されたようですが、寺社建築工事に特化し、匠の技一筋に事業を展開してきた会社である。古のイメージと思いがちだが、一度ホームページを見て頂きたい。
伝統の格調高さとセンシティブなコンテンツに彩られています。全国に支店を置き、関連会社・グループ会社約20社を配し、上場企業も生み出しているアクティビティーな企業でもある。社歴は古いが、企業活動においては、時代を読み、未来を先取りしているのである。
長寿命企業の業種別では、卸・小売業が約1万社。製造業が約6千社。宿泊・飲食業は1千社足らずである。農林水産業は別として、古から我国を支えてきた企業といえるのである。
近代の経済状況では、会社の寿命は約30年といわれているのを聞くと、これらの企業はどの様にして生き抜いてきたのか。興味しんしんです。その大要は以下の3点にまとめることができるようです。
1.本業はあくまでも重視する。その上で、時代時代に合わせて変身をする。
2.身の丈にあった経営を心がける。
3.従業員を重視する。
個々の解説は後日にゆずるとして、一度、ゆっくり考えてみて頂きたいと思います。
秋の夜なが、虫の音を聞きながら、読書と思索に分け入って下さい。
(文責)株式会社 経営改善センター 山本 正