「経済危機対策における税制上の措置」
~平成21年4月10日、麻生総理は追加の経済対策を発表~
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」
~平成20年5月に成立した遺留分に関する民法の特例~
「経済危機対策における税制上の措置」
平成21年4月10日、麻生総理は追加の経済対策となる「経済危機対策」を発表しました。
『この「経済危機対策」は、深刻度を増す「世界金融危機」と戦後最大の「世界同時不況」の中で、我が国経済もまた、輸出市場の急激な収縮に直面するとともに、金融環境も厳しいものとなっているという状況に対応するためのものです。』
日本経済は短期的には輸出急減と金融不安による「底割れ」の危機と長期的には輸出主導の成長路線からの脱却すなわち「構造的な危機」に直面している。
2010年度までに経済状況を好転させるために08年度1次補正予算、2次補正予算、09年度予算・税制改正(景気対策3段ロケット)そして今回の経済危機対策で未曾有の130兆円の追加予算を投入することになりました。
経済危機対策において、需要不足に対処する観点から以下の税制上の措置がとられました。
1.住宅取得等のための金銭贈与に係る贈与税の時限的軽減措置
(1)平成21年1月1日から平成22年12月31日まで
(2)20歳以上の者がその直系尊属(父母、祖父母など)から受ける
(3)住宅取得(家屋と同時に取得する敷地を含む)、家屋の増改築のための金銭の贈与
(4)500万円までは贈与税を課さない
(5)基礎控除の110万円を足して暦年は610万円、相続時精算課税は4000万円となります。
2.中小企業の交際費課税の軽減
(1)平成21年4月1日以後に終了する事業年度から
(2)資本金1億円以下の法人に係る交際費について
(3)定額控除限度額400万円から600万円に引き上げられます。600万円までの90%を損金算入できます。
3.研究開発税制の拡充
(1)平成21年4月1日から平成23年3月31日までに終了する事業年度において
(2)試験研究費の一定割合を控除する場合、法人税額の20%までの税額控除が30%までに引き上げるとともに
(3)平成21・22年度で控除し切れなかった場合、平成24年度までの法人税額から控除が可能となります。
(文責)公認会計士 魚住正治
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」
平成20年5月に成立した遺留分に関する民法の特例が定められました。
相続人に生前贈与を行なった場合、特別受益とされる贈与については、10年前のものでも、20年前のものでも、遺留分減殺請求の対象となります。後継者への自社株の生前贈与は通常特別受益と考えられますので、他の相続人の遺留分を侵害していれば、遺留分減殺請求権が行使されて株式が分散する恐れがあります。
また、自社株を生前贈与した後、相続開始までの間に、後継者の経営努力によりその株式の評価額が上昇した場合にも、その上昇分が遺留分を算定するための財産の価額に算入されることになり不公平といわれていました。
そこで、これ等の問題点を解消するために、円滑化法では、経営者の生前に推定相続人全員により、次の合意をすることができるようになりました。
(1) 経営者から後継者への生前贈与株式を遺留分の対象から除外すること。
(2) 経営者から後継者への生前贈与株式の評価額を贈与時の価額に固定すること。
特例を受けるための手続き
推定相続人全員による合意をした後に経済産業大臣の確認を受け、家庭裁判所の許可を得る必要があります。円滑化法のよる合意をした後継者は、次の各号に該当することについて、経済産業大臣の確認を受けなければなりません。
(1) 合意が中小企業者の経営の承認の円滑化を図るためにされたものであること。
(2)合意した日において、後継者であったこと。
(3)合意した日において、後継者が、生前贈与株式を除いて、過半数を所有していなかったこと。
(4)後継者が経営を投げ出した時に、後継者以外の推定相続人が取ることができる措置の関する定めをしておくこと。
円滑化法に基づく合意は、経済産業大臣の確認を受けた者が、当該確認を受けた日から1ヶ月以内に家庭裁判所に許可の申し立てを行い、その許可を受けたときに限り、その効力を生じます。
(文責)司法書士 龍見 康務