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vvol.234 「募集株式の発行と登記手続きについて」 2009.2.12
募集株式の発行と登記手続きについてお話します。
![]() 「募集株式の発行と登記手続きについて」
募集株式の発行は、募集方法や公開会社であるか否か(譲渡制限会社)によりその手続きが異なるため、会社の内容や募集方法を確認する必要がある。
現在、非公開会社(譲渡制限会社)が殆どのため、非公開会社における募集株式の発行手続き等について記述します。
I.第三者割り当てによる募集株式の発行
(1)募集事項の決定
(2)募集株式の申し込み (3)募集株式の割り当て (4)出資の履行の手続きが必要となりますが、会社が株式の引受人との間で総数引受契約を結ぶ場合は(2)(3)の手続きは不要となります。
1.募集事項
会社は、株式の募集事項として次の(1)~(5)の事項について決定する。 なお、募集事項の内容は募集ごとに均等でなければなりません。
(1)募集株式の種類及び数
募集株式の発行に際して新株を発行する場合は、発行後の発行済株式総数が発行可能株式総数を超えない範囲で、発行する新株の数を決定します。
また、発行している新株予約権の内行使期間が到来しているものがあるときは、この目的たる株式の数を控除した範囲で定める必要があります。
(2)募集株式の払込金額又はその算出方法
「払込金額」とは株式の発行予定価額であり、実際に株式の引受人より払込まれる財産の額が「払込金額」を上回っても差し支えありません。
「払込金額」を具体的に定めないときは、「払込金額の算出方法」を定めるが、この算出方法は会社法第201条第2項の「払込金額の決定方法」と異なり、裁量の余地を許されないものと解されています。
(3)現物出資の旨並びに出資財産の内容及び価額
金銭以外の財産を出資する場合は、その旨並びに現物出資財産の内容及びその価額を定める。
(4)払込期日又は払込期間
払込をする時期につて、特定の暦日を払込期日として定めるか又は一定期間を払込期間として定める。
払込期間を定めた時は、株式の引受人は払込みをした日をもって株主となるがその登記は、払込期間の末日から2週間以内に、払込期間の本日現在までの変更分を一括して登記申請すればよい。
(5)増加する資本金及び資本準備金に関する事項
募集株式の発行に対して新株を発行する場合は、原則として払込を受けた財産の全額が
資本金となるが、払込に係る額の2分の1を超えない額について、資本金として計上せず、 資本準備金とするこができる。なお、募集株式の発行に際して自己株式だけを交付する 場合は、そもそも資本金は増加しない。
2.募集事項の決定方法
株主総会の特別決議で行う、また、株主総会は募集株式の数の上限と払込金額の下限を定めた 上で、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社では取締役会)に委任することもできる。 この委任は、当該株主総会の決議から1年以内に払込期日が到来する募集株式の発行について 可能である。 種類株式発行会社が譲渡制限付株式を募集する場合は、募集事項の決定や取締役等への委任 について、募集する種類株式の種類株主総会の特別決議が必要となる。 ただし、定款にこの定めの承認を排除する旨を定めることができる。 3.募集株式の申込み 会社は、募集株式の引受けの申込みをしょうとする者に対して、 (1)商号 (2)募集事項 (3)払込取扱機関 (4)その他会社法施行規則第41条で定める事項 を通知しなければならない。ただし、会社が金融商品取引法の基づく目論見書を交 付している場合等については、この通知は不要である。 申込みをしようとする者は、会社に対して (1)氏名又は名称及び住所 (2)引受ける募集株式の数を記載した書面 を提出して、募集株式の引受けの申込みを行なう。 4.募集株式の割り当て 前3の募集株式の引受けの申込みに基づき、各申込者に割当てる株式の数を決定す る。割当ての決定は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役設置会社に置い ては取締役会の決議により、その他の会社に置いては株主総会の決議により行なう。 なお、募集事項の決定機関と募集株式の割当ての決定機関が同一である場合は、割 当てを受ける者から株式の申込みがあることを停止条件として募集事項の決定時 に募集事項の決定することも可能である。 会社は、払込期日(払込期間を定めた 時はその日)の前日までに、申込者に対して、割当てる募集株式の数を通知しなけ ればならない。 5.総数引受契約 株式の引受人が会社との間で募集株式の総数を引受ける旨の契約を締結した場合 は、前3.4、の手続きは不要である。この場合、株式の引受人は必ずしも1名 には限らず、複数の引受人との間でも、同一の機会に一体契約として募集株式の 総数の引受けがなされていればよい。 6.出資の履行 募集株式の引受人は、払込期日(払込期間を定めた場合にはその期間内)に、払込 金額の全額を払込取扱機関に払込まなければならない。会社が払込機関を定めた場合は、 引受人は払込をした日をもって株主となるが、登記については、払込期間の末日をもって 一括して変更することができる。 7.現物出資に関する検査役の調査 会社は、募集事項として現物出資に関する事項を定めた時は次の(1)~(5)の場合を除 き遅滞なく、現物出資財産の価額を調査させるため、裁判所に対して検査役の選任を 申し立てなければならない。 (1)株式の引受人に割当てる株式の総数が、発行済株式総数の10分の1を超えない場合。 (2)募集事項で定められた現物出資財産の総額が500万円を超えない場合。 (3)現物出資財産が市場価格のある有価証券であり、募集事項で定められた価額が、 決定日における最終の市場価格又は公開買付け等における価格のうち高い額以下である場合。 (4)募集事項で定められた現物出資財産の価額が相当であることについて、弁護士、 公認会計士、税理士又はこれらの法人の証明 (現物出資財産が不動産のときは、不動産鑑定士の鑑定評価も併せて)を受けた場合。 (5)現物出資財産が会社に対する弁済期が到来済みの金銭債権であり、募集事項で 定められた価額が、会社の帳簿上負債を越えない場合。 8.増加する資本金の額 募集株式の発行により増加する資本金の額は、払込まれた財産の額より募集株式の 交付に係る費用を控除した額に、交付する株式の総数のうち発行する新株の数が占める割合を 乗じた額から、交付する自己株式の差損を控除した額である。 また、1.(5)で資本金に計上しない額を定めた時は、さらにこの額を控除した額が増加する 資本金の額となる。なお、募集株式の交付に係る費用として控除できる額は、当分の間、 零とされている。 9.登記手続き 1)登記すべき事項 募集株式の発行により、新たに株式が発行された場合は、発行済株式の総数並びに その種類及び種類ごとの数、資本金の額(資本金が増加する場合に限る)の変更を 登記する。 自己株式のみを交付する場合は、登記の事項に変更がないので登記の必要がない。 2)添付書類 (1)募集事項の決定に係る議事録 募集事項の決定を取締役等へ委任した場合は、委任に係る株主総会議事録と 取締役決定書等を添付する。 (2)募集株式の申込を証する書面 株式申込証、総数引受契約書等を添付する。 (3)募集株式の割当て決定に係る議事録 定款に別段の定めに従い株式の割当てを決定したときは、定款も併せて添付する。 募集事項の決定と同一の機会に割当てを決定したときは(1)の議事録に含まれる。 (4)払込があったことを証する書面 代表取締役が払込みのあった金額を証明した書面に、払込取扱機関の口座の預 金通帳の写しを合綴した書面を添付する。なお、通帳に記載された払込みの 日付が、払込期日に先立つ日付であった場合でも。申込証拠金の払込みがあっ たものとして、有効な払込みとみなされる。 (5)現物出資よる場合は次のいずれかの書面 株式の引受人に割当てる株式の総数が発行済株式済株式総数の10分の1を 超えないとき、又は募集事項で定められた現物出資財産の総額が500万円を 超えないときは、これ等の書面の添付は不要です。 ア.検査役の調査報告書及びその附属書類 イ.現物出資財産が市場価額のある有価証券であると時は、市場価格を証する書面 ウ.募集事項で定められた現物出資財産の価額が相当であることにつき、弁護士等の 証明書及びその附属書類(不動産については不動産鑑定士の鑑定書を含む)。 エ.現物出資財産が会社の対する弁済期が到来済みの金銭債権であるときは、 募集事項で定められた価額が、会社の帳簿上の負債額を超えないことを証 する会計帳簿。(具体的には、仕分伝票や現金出納帳、買掛元帳等など) なお、 会計帳簿の記載から債権の弁済期の到来が明らかでない場合であっても、 会社が期限の利益を放棄していないことが添付書面から明らかな場合を除き、 登記申請は受理される。 オ.資本金の額の計上に関する証明書 設立登記の場合と異なり金銭のみの出資であっても、この書面の添付が必要 です。 10.登録免許税 増加する資本金の額の1000分の7、この金額が3万円に満たない時は3万円 II.株主割当による募集株式の発行 株主割当による募集株式の発行では、概ね (1)募集事項の決定 (2)募集株式の申込み (3)出資の履行の手続きが必要となる。 第三者割当ての場合と異なり株主割当では、株主にその持ち株比率に応じて株式を 引受ける権利が与えられるため、株主の割当ての決定手続きは不要となる。 1.募集事項の決定 株主割当により募集株式を発行するときは、前記(第三者割当による募集株式の 発行の1.募集事項)の事項のほか、株主に対して募集株式の割当てを受ける権利を 与える旨及び株式の引受けの申込期日を定めなければならない。これ等の事項の決 定は原則として株主総会で決議するが、定款に定めのある場合は、取締役会が決定 する。また、種類株式発行会社において、当該募集株式の発行が他の種類株主に損 害を及ぼす恐れのあるときは、当該種類株式の種類株主総会の特別決議が必要とな る。なお、定款の定めによりこの種類株主総会の承認を排除することもできるが、 この場合会社は、効力発生日の20日前までに株主に対して通知又は公告を行い、 反対株主からの株式買取請求に応じる必要がある。 2.株主に対する通知 会社は、募集事項の決定をしたときは、申込期日の2週間前までに株主の割当てを 受ける権利を有する株主に対して (1)募集事項 (2)当該株主が割当てを受ける募集株式の数 (3)申込期日 を通知しなければならない。なお、株式の割当てを受ける権利を有する株主全員の 同意があるときは、この通知期間を短縮することも可能とされている。 3.募集株式の申込み 株主割当を受ける権利を有する株主が、申込期日までに株式の引受けの申込みをし ない時は、当該株主は株式の割当てを受ける権利を失う。この場合、会社は申込み のなかった株式について改めて募集をすることなく、打ち切り発行することができ る。 4.出資の履行 出資の払込みや現物出資の検査による調査等の手続きについては、第三者割当てと 同様である。 5.登記手続き 登記手続きについても第三者割当と概ね同様であるが、添付書類の関して次の点で 異なる (1)募集事項の決定に係る議事録 定款の定めに従い募集事項を取締役等が決定した時は、定款の添付も必要で ある。 (2)募集株式の割当て決定に係る議事録 株主割当では、会社が募集株式の割当てを決定する必要がないため、この書 面の添付は不要となる。 (3)株主に対する募集事項等の通知期間を短縮した時は、株主の割当を受ける 権利を有する株主全員の同意書を添付する。 (文責)司法書士 龍 見 康 務
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