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vol.233 「商標権の侵害とならない場合(その5)」 2009.2.5
商標権の侵害とならない場合についてお話します。そして話題  
1)精神疾患の患者数は増加の一途
2)確定申告は早めの準備・提出を!
について書かれています。
「商標権の侵害とならない場合(その5)(商標登録に無効理由がある場合)」
 1.はじめに
商標権は独占排他権であるため、正当な権原のない第三者が登録商標をその指定商品等に
使用すると、商標権の侵害となるのが原則です。しかし、商標登録が過誤登録であるときは、
商標登録に無効理由があり、商標権の行使は、権利濫用であるとして認められないため、商
標権の侵害とはなりません(商標法39条で準用する特許法104条の3)。

2.商標登録に無効理由があるため、商標権の侵害ではないとされた事例
(1)「モズライト・ギター事件」(東京高裁 平成14年4月25日 東京地裁平成13年
9月28日 判時1781-150)
第24類「楽器」を指定商品とし、M-mosriteの文字を含む商標について商標権を
有する原告は、登録商標と同一又は類似の商標を使用し、エレキギターの輸入販売等をして
いる被告に対して、商標権の侵害を理由に差止請求および損害賠償請求をしました。
裁判所は、本件登録商標は、商標法4条1項10号に違反して登録されたため、商標登録
に無効事由が存在することが明らかであり、無効事由が存在することが明らかな商標権に
基づき差止請求権や損害賠償請求権を行使することは、いかなる場合であっても権利の濫
用に当たり許されないと判示しました。
商標法4条1項10号は、他人の周知商標と同一又は類似の商標は登録しないと規定し、
他人の周知商標との出所混同の防止を図る規定です。モズライト・ギターは、ロックグルー
プであるザ・ベンチャーズが使用し、寺内タケシや加山雄三等の我が国の人気ミュージシャ
ンもモズライト・ギターを演奏に使用していたことから、商品エレキギターについてMOS
RITEは周知商標となっており、本件登録商標は周知商標に類似し、商標法4条1項10
号に違反して過誤登録されたものと裁判所は判断しました。

(2)「アダムス事件」(東京高裁 平成15年7月16日 東京地裁平成14年2月7日 
判時1836-112 判例集183)
ADAMSの英文字とアダムスの片仮名文字を上下2段に横書きしてなる商標について、
第28類「運動用具」を指定商品として商標登録を受けていた商標権者が、登録商標に類似
する商標を付したゴルフクラブを輸入販売等している被告に対して、差止請求と損害賠償請
求をしました。
裁判所は、まず次の事実を認定しました。米国において、法人アダムスゴルフの製造販売
するゴルフクラブを示す商標としてADAMSが注目されるようになったのは平成8年1月
のPGA展示会からであること。原告は、その展示会を視察し、商標ADAMSを付した製
品に注目し、将来、重要なゴルフクラブになるかもしれないとの認識を有するようになった
こと。展示会の終了後間もない同年3月12日に、原告は、法人アダムスゴルフの許諾を得
ることなく商標ADAMSと類似する商標の登録出願をしていること。原告は、従前から、
外国におけるゴルフ用品製造業者又は販売業者の商標につき、我が国において製造業者又は
販売業者に無断で商標登録出願をすることを数多く繰り返しており、その件数は昭和53年
6月から平成8年9月までの間に主なものだけでも合計19件に上ること。
これらの認定事実に基づき、本件登録商標の商標登録出願時に米国では法人アダムスゴル
フの製造販売するゴルフクラブを示す商標としてADAMSが注目されるようになっていた
ことに原告は着目し、近い将来、我が国においても、同商標が注目されるようになる可能性
が高いとの判断の下に、我が国で登録されていないことを幸いに、予め、同商標に類似する
本件登録商標につき商標登録を受け、これにより我が国内においてADAMSの商標を付し
た商品の輸入総代理店等の有利な立場を得、あるいはアダムスゴルフの名声に便乗して不正
な利益を得るために登録商標を使用しようとする事実が推認される。したがって、原告の登
録商標は、公正な商取引の秩序を乱し、国際信義に反するものであり、公序良俗を害する虞
がある商標であるから、商標法4条1項7号に違反する過誤登録である。よって、無効理由
が存在することが明らかな商標登録に基づく権利行使であり、権利の濫用に当たるとして裁
判所は侵害を認めませんでした。
商標法4条1項7号は、公の秩序又は善良の風俗を害する虞がある商標は、商標登録しな
いと規定しています。

さらに詳細をお知りになりたい方は、ご連絡下さい。

(文責)弁理士    川 瀬  裕 之
 
「話題」
精神疾患の患者数は増加の一途~~過労や過労死の労災判例も幅広く

 過労などから精神のバランスを崩し、うつ病などになるケースが増えている。3月期決算を
控えた多くの企業で、金融不況の影響による人的リストラが一層進むと予想されているため、
精神疾患の患者のさらなる急増も懸念されている。不況と直接的には因果関係の薄い教員の世
界でも、07年度文部科学省の統計で8,000人も病気休職がおり、このうち5,000人は精神疾患で、
これは過去最多であり、うつ病などの患者は15年連続で増加している。
 主な原因は
(1) 教員に生徒がついてこなくなる、
(2) PTAが教員に無茶な注文を出す(いわゆるモンスター・ペアレンツ)、
(3) 中年で子育て中の教員が家庭において、妻や子と意見や意思のズレを抱える、など。
2者の関係がこじれて修復が難しいことが指摘される。
 企業で働く人は、教員ほどの長期休暇は取りたくても取れない。有給休暇がままならない上に、
病欠などしようものなら「明日から座る椅子はない」と、事実上の馘首宣言をされそうな不安
もあり、ストレスが溜まる一方である。
 一方、過労で障害を残す、または過労死に至るケースには、厚生労働省の労災認定基準がある。
(1)仕事上で事件・事故と遭遇
(2)発症前の1週間前に過重労働をした
(3)発症前の6ヵ月間に特に過重労働に就いた、
の3つである。精神疾患だけでなく心臓病、肺炎、ぜんそく発作、十二指腸潰瘍などで倒れても
認定される判例が増えている。

―――――☆ ☆ ☆―――――

確定申告は早めの準備・提出を!~~所得税は2月16日から3月16日

 2008年分の所得税等の確定申告が近づいている。所得税の申告・納税は2月16日からだが、
贈与税は2月1日から始まり、ともに3月16日が期限である。また、個人事業者の消費税の申告
・納税は1月5日から3月31日までが期限となっている。
 今年も、一部の税務署は2月22日と3月1日に限り、日曜日も相談・受付を行うこととして
いる。ただし、確定申告期限間近になると、税務署は大変混雑し、長時間待たされるので要注意。
確定申告は、できるだけ早めに準備し、早めに提出することが望ましい。
 所得税の申告が必要な人は、例えば、給与所得者であれば、
(1) 給与の収入金額が2,000万円を超える人、
(2) 給与を1ヵ所から受けていて、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を
超える人、
(3) 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子や店舗・
工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた人
などが該当する。
 消費税では、基準期間(2006年分)の課税売上高が1,000万円を超える事業者や、1,000万
円以下であっても「消費税課税事業者選択届出書」を提出している事業者は、申告が必要となる。
これらの事業者は、2008年分の課税売上高が1,000万円以下であっても申告が必要なので、注
意が必要だ。
 
(文責)ネットファーム 事務局

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