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vol.212 「役員退職金/株主名簿の機能」 2008.09.03
役員に退職金を支払った場合、不相当に高額でない限り、その支給額は損金に算入されることの解説と、 特例有限会社の株主名簿(社員名簿)にはどのような機能及び効果があるかを解説致します
「役員退職金」
役員に退職金を支払った場合、不相当に高額でない限り、その支給額は損金に算入されます。 役員が会社の役職をすべて辞した場合は、事実の上での退職ですが、退職という事実がないとしても、「退職したと同様の事情のある場合」もその支給した金額は退職給与として取り扱うこととされています。 「退職したと同様の事情」とは、分掌変更または改選による再任等、地位または職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合として、通達には次のように定められている。
(1)常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有するもの及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認め られるものを除く。)になったこと。
(2)取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占 めていると認められるもの及びその法人の株主等で法人税法施行令71条1項5号 <使用人兼務役員とされない役員> に掲げる要件のすべてを満たしているものを除く。)になったこと。
(3)分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められるものを除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
役員の分掌変更に伴い支給する金員が退職給与にあたるか否かについて争われた事例がある。 この事例では、甲社において代表取締役を退任したAおよび取締役を退任したBに対して退職金5560万円を支払い、これを損金に算入したところ、課税庁は、両者に退職の事実がないことを理由に、損金算入を否認し、納税者が取り消しを求めた事件である。 課税庁の主張として。 Aは分掌変更後も実質的に経営上重要な地位を占めている役員に該当し、甲社を主宰していることに変わりがないので、実質的に退職したと同様の事情があるとは認められない。 そして、 Aに対する役員報酬は、原告の決算の赤字が続いているにもかかわらず、平成13年10月に従来の月額X円から月額Y円に増額されており、平成14年4月に月額 Z円に減額されている経過は不自然であり、法人税の納付を回避することを目的とするものであるから、実質的に報酬の減額があるとはいえない。 また、 Bは、取締役を辞任した後も、常勤の監査役となっており、また、その配偶者と合わせて、甲社の株式の相当数を有していることに照らせば、実質的に退職と同様の事情があるということは出来ない。 甲社が、本件事業年度において、A及びBに対して退職金を支給することを決めた動機は、本件事業年度に団体生命保険の満期保険金等として1億5614万円を収受し、既積立金を控除した9498万円を雑収入とし、甲社は法人税額の増額を避けるためのA,Bを退職させたと受け取れる。 裁判所は、本件通達は、形式的に前記(1)から(3)までのいずれかにあたる事実がありさえすれば、当然に退職給与と認めるべきという趣旨とは解されないとして、課税庁の主張をほぼ認める判決をした。 注意すべきことは、この通達は、「実質的に退職したと同様の事情にある」ことの例示で、退職と同様の事情にあったか否かはその分掌変更後における職務の内容、役員としての地位の激変等の事実により実質的に判定するべきものなのである。
(文責)公認会計士 魚住正治
 
「株主名簿の機能」
特例有限会社の株主名簿(社員名簿)にはどのような機能及び効果があるかを解説致します。 特例有限会社の株主が株主名簿に登載されると、株主であることを会社及び第3者に対抗することができます。また、特例有限会社が株主に対して通知又は催告をする場合には、株主名簿に記載された宛先に通知又は催告を発すれば足り、株主に実際に到達しなくても会社は免責されます。
株式の移転の対抗要件 特例有限会社では、一般の株券不発行会社と同様に、株主名簿の記載が会社のみならず第3者に対抗要件の機能を有します。 即ち、特例有限会社において、株主(従来の社員)が株式(従来の持分)を譲渡するには当事者間の合意だけで有効になされますが、株式の譲受人は、株式名簿に譲受人が記載されていない限り、会社や其の他の第3者に対し、自己の株主であることを主張することはできないのです。この対抗要件の機能は、旧有限会社の社員名簿と変わるところはありません。 また、株式を譲り受けた場合のほか、相続や合併などで株式を取得した場合にも、株主名簿の記載が会社及び第3者に対する対抗要件となります。 株式名簿記載事項証明書の発行 特例有限会社の株主名簿に登載された株主は、自己が株主であることを証明するために、会社に対し、株主名簿記載事項証明書の発行を請求することができます。会社は、この株主名簿記載事項証明書を電磁的記載記録の方法で提供することも出来ます。 この株主名簿記載事項証明書の制度は、平成16年商法改正により株式会社・有限会社に導入されたものです。 株主への通知、催告に関する免責  特例有限会社が株主に対して通知又は催告をする場合には、株主名簿に記載・記録された株主の住所(株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を会社に連絡した場合にあっては、その場所又は連絡先)に宛てて通知又は催告を発すれば足り、実際に会社からの通知又は催告が株主に到着しなくても、通知又は催告が通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます。 従って、株主から申出がない限り、会社側から積極的に株主の移転先を探しだす必要はなく、株主名簿上の連絡先に連絡すれば会社は免責されます。  さらに、特例有限会社が株主に対してする通知又は催告が5年以上継続して到達しない場合には通知、催告自体を省略することが、会社法上、認められています。
株主名簿記載事項証明書の記載例
                株主名簿記載事項証明書
                平成〇〇年〇〇月〇〇日
                0 0 0 0 様 
                大阪市〇〇区〇〇町一丁目1番1号
                〇 〇 株式会社
                代表取締役  0 0 0 0 印
平成〇〇年〇〇月〇〇日現在における株主名簿に,貴方様が下記のとおり記載されていることを会社法第122条第1項の規定のより証明いたします。
                     記
                1. 氏名  大阪 一郎
                2. 住所  大阪市〇〇区〇〇町二丁目2番2号
                3. 株式の種類及び数  普通株式  00株
                4. 株式取得の年月日  平成00年00月00日


(文責)司法書士・土地家屋調査士 龍見 康務

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